「ストーリーとしての競争戦略」とか

だいぶ前に読み終わりましたが、これはよいよ。



経営の競争戦略論の本ではあるのだけど、
なんつーか切り口が新しいというか、あまりなかった視点。

端的に言えば、
部分合理性と全体合理性を満たしている要素は「普通の賢者」でもとりうることができるが、部分非合理性と全体合理性による要素は「賢者の盲点」であり、一見非合理だがストーリーとしては合理性を満たしているものは、他社でも容易には真似できない・・・むしろ、t他社がそれだけを真似することは強力な毒薬となる、とかそういうことだったり。

例えば、スターバックスがとりあげられていて、
なぜ他のコーヒーショップがスターバックスにはなりえないのかと言うと、
彼らは「第三の場所」というコンセプトを成立させる為に「直営方式」という極めて非合理な選択を行っている。
普通に考えるのであれば、「フランチャイズ方式」のほうが経営的には合理的である。
が、「第三の場所」というコンセプトを確立し、サービスの価値を最大化させる為には極めて合理的な選択である。
ある企業の経営戦略の個々の要素を追随企業が模倣するのは容易ではあるが、
ストーリーそのものを模倣するのは極めて難しい。

だからいわゆる「ベストプラクティス偏重路線」にも警鐘を鳴らしている。
そんな部分だけ真似しても仕方ないし、部分だけ真似してよいものなら、そんなの他社も当然同じことをやるだろうから、継続的な競争優位性にはならんよね、とか。

ポーターの競争戦略(差別化、集中、コストリーダーシップ)が有名で、あとは低価格戦略コモディティ化した市場に対し、廉価路線で挑む)ぐらいなのだけど、
「ストーリーとしての競争戦略」はそういった要素ではなく、全体の流れに着目したということで結構よいんじゃないだろうか。