「原発危機と『東大話法』」とか
原発危機の際には科学者からまぁ色んな意見が出たわけだけど、「不誠実な立場主義者の言葉」と喝破し、その論理や思考方法に焦点を当てた本。
著者によれば、東大でうまくやるには「底知れぬ不誠実さ」「抜群のバランス感覚」「高速事務処理能力」の3つが必要だとし、そういった環境の中では、以下のような欺瞞のパターン・・・東大話法が見られるという。
- 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
- 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
- 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
- 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
- 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
- その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
- 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
- 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。
- スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。
- 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
- 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
- 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
- 羊頭狗肉。
- わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
- わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
- ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
- ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
- 全体のバランスを常に考えて発言せよ。
- 「もし○○○であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。
象徴としての「東大」ではあるが、いわゆる「頭のいい人」の論法としてまとめている。
科学では本来「真理」が追求されるべきなのに、各々の「立場」を優先するあまり、欺瞞が通ってしまうと著者は語る。
揚げ足取り?というイメージもなきにしもあらずだけど、「欺瞞をつく」という点では面白かった。
ふしぎなキリスト教でも感じたことだけど、日本人は神(真理への敬意)を持たず、立場だけがあるからなのかな、と何となく思ったり。