参入障壁とか

だらだら書く。

独立起業は正しいか

SIer業界がややすればブラックな状況になりがちなのは、資本力の弱い中小零細が非常に多い為と個人的には考えている。

通常産業は成熟するにつれ大資本に集約される行くものだ。
ただし、幾つかの産業はそれに当てはまらない。

  • 身一つで起業できる。大きな資本を必要としないもの。
  • 資格や条件などが不要。参入障壁が極めて低いもの。
  • 属人性が高く、規模の経済が効かないもの。
  • レモン市場。企業の評価やブランドが一般化されにくいもの。

こういった産業は個人でやった方が儲かるんじゃないの?という期待を暫し抱かせる為、多くの人間を独立起業へと駆り立てさせる。
結果、資本は集約しない。低資本の企業が乱立することになる。

かつての弁護士や士業のように供給量がコントロールされていれば、供給と需要のバランスが保たれ価格も一定額を維持できるのだが、そうでない場合、単なる安売り競争となり、それは労働環境悪化の遠因となる。

参入障壁

供給と需要を適切な関係に保つ為、何らかの参入障壁を設けるということが考えられるが、歴史を振り返ってみる必要がある。

特定産業振興法

特定産業振興臨時措置法案 - Wikipedia

特定産業振興臨時措置法案(とくていさんぎょうしんこうりんじそちほうあん)は、1963年から1964年にかけて日本の内閣が国会に3回にわたって提出した法律案である。いずれも審査未了のまま廃案となった。通称は特振法案。 

 散々議論になった末に廃案になったらしいが、貿易自由化を前に、自動車産業や鉄鋼産業を統制し(実質的な新規参入制限)、海外企業に対抗しうる産業にしようと一部の官僚は考えていたらしい。

これに猛反発したのが当時自動車産業未参入だったホンダである。

www.honda.co.jp

「どうにも納得できないということで、僕は暴れたわけで。特振法とは何事だ。おれにはやる(自動車をつくる)権利がある。既存のメーカーだけが自動車をつくって、われわれがやってはいけないという法律をつくるとは何事だ。自由である。大きな物を、永久に大きいとだれが断言できる。歴史を見なさい。新興勢力が伸びるに決まっている。そんなに合同(合併)させたかったら、通産省が株主になって、株主総会でものを言え!、と怒ったのです。うちは株式会社であり、政府の命令で、おれは動かない」

 さて、この法案が廃案になり、その後、日本の自動車業界はどうなったか?
ここであえて述べるものでもないが、世界の自動車企業TOP10に複数日系企業がランクインしている。

タクシー業界

参入規制について考えるなら、近年だとタクシー業界が参考になるだろう。
小泉改革時、規制緩和されたが、結果競争が劇化、業界団体からも「労働環境の悪化、サービスの低下につながる」との反論があり、規制強化に揺り戻されたという経緯がある。
ただし、近年ウーバーなどライドシェアサービス(一般ドライバーによる送迎マッチング)の解禁の流れがあり、再び規制緩和に傾くと思われる。
更に言えば、今後10年以内には自動運転の実現すると見られており、タクシー業界がその影響を諸に受けるのは間違いない。

参入規制の功罪

参入規制は確かにその業界の人間を守るには有効だが、業界全体の成長にプラスの影響を与えているか?となると相当疑わしい。