「中抜き」と「コストオン」

中抜きについて書いたらトラックバックがあった。
「中抜き業者」ではなく「コストオン業者」として考えよう、ってことで、

つまり代理店という名のつくところは、コストオンをいかにクライアントに分かってもらえるかがキーとなる。コストオンは、技術・人脈・規模・サービス etcなど企業価値が備わっていればできる。でなければ「中抜き」ということになり、単に商品を右から左に移動するだけ・・・ということで企業価値はなくなってしまう。
代理店といえば広告代理店がとりあえず思いつく。
例えばクライアントから「7月ぐらいに新商品が発売されるんだけど、この予算でいいキャンペーン打ってくれない?」って話を受けると、プロモーションプランの設定、TV、CM、雑誌、交通広告の手配、キャンペーンサイトの立ち上げ等を組織力やら人脈を駆使して、ワンストップで対応してくれるところがやっぱり代理店という形式が選ばれる原因なのかなぁ、と。
クライアント企業の一担当部署でこれをやろうとすれば、まぁ知見もノウハウも何もないし、データも不足しているし、大変なことこの上ない、と。

以前書いたエントリーはどちらかと言えば、「人材派遣屋さん」「業務請負屋さん」を想定していたりする。
オウム事件のときにIT業界の多層下請け(5次請、6次請)とかが問題になったが、事件への反省や個人情報保護法によるセキュリティ意識の高まりもあり、こういった構造がちょっとは減っているとは思うのだが、まぁでもちょっとしか減ってないよね、というのが現状だと思う。
4社も5社も通さないと人が集まらない状況ってなんなのよ?って思うし、そりゃあ中抜き業者は丸投げって言われても仕方ないよな、つーかこういう状況・・・要求される課題解決は「Java言語のPGを5人確保」という単純なものなのに!・・・でコストオンって何を?という気もする。
で、システム開発プロジェクトの成否は末端PGの能力云々にかかっている部分も大きいのでそれはそれで興味深い現象だったり(笑)。

「中抜き」を考えるとき、発注側への視点も重要だが、下請側への視点も重要かなぁ、とは思う。「優れた人材とのつながり」というのはそれだけで一つの財産ではあるわけだし・・・つーかね、派遣屋さんにお願いしても、要求する技術スキルにもよりますが、優秀な人材って場合によっては10人に1人がいいとこだと思いますよ・・・、発注側、下請側が自社に対して不満を持ち、そして発注側と下請の利害が一致することがあれば、容易に「中抜きのスルー」は発生する。
関係者双方にメリットを享受させ、自社が存在する「理由」を明確にすることが重要・・・、ってこれがコストオンなんだね、おそらく。

最近ではネット経由の求人・求職も増えてきているし、SNS内で求人の動きがあったり、個人で情報発信を行う人も多いので、こういった人材調達の構造もそろそろ変わっていくのではないだろうか。
「紹介料から何%とる」というプロ野球の代理人方式もそのうちどこかが始めるんじゃないのかなぁ、と思ったり。

とはいうものの現時点で紹介料しかとらない業態もあったりする。
人材紹介業がそうなんだが、以前紹介料の相場って一説によれば「紹介する人間の年収の3割」とか話。まぁプロ野球とは異なり、こういった紹介料は雇用先からとるのだが(といっても金の出所は一緒か)。
初年度年収500万だったら実質650万の出費ということになる。
一本釣りなら話は別だが、複数人の採用を考えた場合、(リクナビとか)転職サイトの利用を考えた方がいいかもしれない。
それにこれは今のところ長期雇用に限定されるだろうし。