どこまでクライアントの立場になりましょうか

興味深い記事。

本来、ITを使った新事業を考案するのも、ITに経営革新の可能性を見出すのも起業家や経営者の仕事だ。これをやれるような経営者ならば、ITのことなど詳しく知らなくても、経営上の価値を洞察できる。さまざまな事物の中に経営革新のネタを見出すのが経営者の仕事であって、ITなんてそれらの事物のほんの一部でしかない。

まず、一つはたとえ経営コンサルであっても、彼らは主体ではありえない。
っていうか、経営コンサルの仕事って結局「アドバイザー」なんだろうなぁ、と勝手に思っている。
経営革新の為の色んな提案をしたら、現状分析を行い非効率部分の指摘とかはするだろうが、実際にそれらを取捨選択し、実行するのは経営者だ。
まぁあれだ、医者がよく言う、「病気を治すのは患者さん自身で我々はその御手伝いをしてるに過ぎないのですよ」ってやつだ。

それと「ITを使った経営革新!」という美辞麗句に振り回される経営者って今時まだいるのかしら?
いや、意外といるのかな。

「どこまでを自分の職務範囲とするか?」というのは結構微妙だなぁ、と思ったりする。
ふと広告代理店のことを思い出す。
なんか広告の提案とITの提案って非常に似てる部分があるので。
突き詰めれば、彼らは「媒体代理店」であってもいい筈なのだが、実際にはマーケティング戦略だったり、ブランディングだったり、徐々に自分の職務領域を広げてきたんだろうなぁ、とは思う。
本来的にはそれらは広告クライアントの職務領域であるような気もしたりするが、実際には専門家が行った方がいい提案が出てくるってことか。

広告提案にしろIT提案にしろ、自社内で全てまかなえればそれで済む話だが、まぁ費用やら効率やら実際の効果やらを考慮して、アウトソーシングしているってことだろう。
どれくらいの作業をアウトソーシングしてるか?っていうのが問題なのだが、

言い方を換えれば、経営者が「×××とやらが効果があるそうだが、これを用いた経営革新を提案してほしい」なんて職務放棄的な依頼をするような末期的な企業には関わらないほうがいい。
丸投げはいかんですな、そりゃあもう。っていうか経営者自身が当事者意識がないのは。

経営革新やら経営戦略という美辞麗句をクライアントの担当者自身が欲しがっている場合もあるかしら。
彼らが社内稟議にかけ予算を通す為にそういった説得材料を必要とするケースもあるだろうし。

まぁ「社員でない以上、経営については脇役にしかなりえない」ってことを意識させしていれば、SI屋が経営戦略を意識するのは悪いことではないと思う。
しっかりとしてシステムを作れるという条件さえつけば、別に自分の職務領域を狭める必要はない気がする。
むしろ「何がそのシステムに要求されているか?」ってことをしばし理解してないが故に過剰なシステムが提案され、費用対効果がむしろマイナスだったりすることも容易にありうるだろうなぁ、と思ったり。
実はExcel+ちょっとした社員教育で十分な業務要件に対し、ウン千万かけた過剰なシステムを導入したり、とりあえず安価なASPで試験的運用を行う分野なのにフルスクラッチで開発してしまったりとか。

あと何をもって「経営革新」と見なすか?
拡大解釈すれば、社員がそれまで暗黙知化させてきた業務上の知識をマニュアル化して社員間で共有できるようにするのも経営革新か?
それは極めて瑣末なことかもしれない。
ただ、中途半端なことをそれなりに見せるのも重要だ
営業にはビッグマウスが欠かせない。

あまりまとまってないんだが、顧客の立場でモノを考えるという当事者意識も必要とされるだろうし、一方で自分達はあくまで脇役にしか過ぎない、という認識を持つのも必要。
つまりはバランスなんだね、とまぁあたりまえの話。