書籍『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』読了
重要な点だけども、日本はアメリカやイギリスなどのように情報産業立国、金融産業立国になれなかったので、かつてのように経済大国としての覇権を握ることはもう二度とないだろう、ってことらしい。
ふうん。
辛辣というか荒涼たる大地の果てには何もないんだよ、みたいな本だった。
以下、興味深かったこととか。
1950年の川崎製鉄の千葉製鉄所は東京湾沿いに建設されていたわけだが、当時は原材料の産出地側に建設するのが常識と考えられており、すごく無謀だとされていた。
が、「近くの山でとるより輸入したほうがコストは安い」「物理的な距離は問題ではない」「原材料がなくても輸入すればいい」ってことらしく、実際にはその後の高度成長期の発展のきっかけとなるモデルとなった。
所得の格差より資産の格差のほうが深刻なのだが、相続税、贈与税が優遇されて過ぎているので、なかなか流動化しない。
小規模宅地特例、事業承継税制とかは廃止すべき。
今のアメリカはコンピュータサイエンス学科は、IT技術を習得してもインド人並の賃金しかもらえないとかで(アウトソーシング)あまり人気がないとか。
株式市場で適正な手段で巨額の利益を上げることはできない。
なぜなら、適正な情報は既に市場は織り込み済みだから。
最近の景気はバブル期を彷彿とさせるのだが、当時と同じような不正事件が発生する。
結局何も学べていないのではないか?
経団連は既存の産業構造の保護に回っている。産業構造の転換・・・イノベーションを阻害してるのは彼らだ、とか。
あと、これは別のところで見た気がするけど、非効率な経営を行っているぐらいなら外貨に買われた方がまだマシだろうよ、とか。
うーんなかなかまとまらない。
エッセイだから、というのもある為か。
ただ、結構視点がするどい(或いは市場や金融を信頼しすぎ。アマゾンでも反論あり)・・・と言いますか、割と色がハッキリ出ている人なので、もう一歩突っ込んだ経済本が読みたい人にはお薦めです。