デジタル屋台

今週の日経ビジネスにて「当世すご腕伝説」という特集が組まれており、
あまりメディア等の表舞台には出てこないが、業界では一目置かれている職業人のものだった。
で、ローランドDGの「デジタル屋台」が紹介されていた。

ところでデジタル屋台とは、

デジタルファクトリーの一環として当社の生産部門が独自開発した完全一人一台生産システム。パソコン画面上に製品の組立手順が工程ごとに立体のイラスト図で表示され、部品の取り間違いを排除する回転ラックやネジの締め忘れを防ぐ電気ドライバーカウンターなど、デジタル機器の支援により慣れない作業者でも高品質に製品の組立てを行うことが可能となる。作業者は複雑な作業工程を覚える負担から解放されるため、組立作業に集中でき生産性、品質ともに向上する。このデジタル屋台の導入による主な効果としては、1.生産リードタイムの短縮、2.急激な増・減産への柔軟で素早い対応、3.仕掛在庫の削減、4.多品種変量の並行生産などが挙げられる。
これテレ東のWBSで一度ちらと見た記憶があるのだが、Office等のウィザードとかを想像してもらえるといいのかも。
トヨタとの比較も出ていたが、トヨタが作業の速い人の動作を解析してマニュアル化しようとするのに対し、
作業をウィザード化することにより教育コストを下げるところがポイント。
実際にズブの素人でもすぐに作業に慣れ親しむことが出来るそうな。
セル生産方式は作業員に高い熟練度を要求するが、その欠点をある程度クリアしたものといえるだろう。

また、教育コストが劇的に下がっているということで、急な増産にも人を増やす、屋台を増やす等して随時対応できることが可能だという。
個々人のノルマを増やすのではなく、全体の組み合わせで対応するらしい。
(日経系列なんでヨイショもあるのかもしれないが)これはなかなかいいのではないか。
なんというか、システム開発者達がかつて到達しようとして辿り付けなかったことを実現しているといいますか。

で、その製造現場を取り仕切る部長さんですが、今もなお「電源コードが邪魔なら無線にできないか」とか「作業員の背の高さに合わせて作業台の高さが変わるようにする」とか、作業員の負荷を徹底的に排除しようと試みている。
これっていわゆる「カイゼン」なんですね。
システム開発を省みると、PCのスペックの低さでストレスが溜まったりする話とかが多かったりするのはやはり遅れているのかなぁと。
(常駐系は自由に職場環境を作れない。だからめんどくさい)
仕事環境のリファクタリングという記事でも仕事環境の改善について触れていたけど、
これを社のモットーとして取り組んでいたのがトヨタなわけで、そりゃああの強さにはちょっと納得。

やや強い言葉で言えば、
「作業員が生産性低下の言い訳を作れない程、障害となるものは徹底的に排除する」