『テレワーク』読了とか

テレワークで豊かな労働環境なんて幻想!幻想!って感じ。



テレワークってのは職場以外で働くことを言うらしく、今、国でも薦めているらしいんだけど、
それをネタにして、日本の労働環境の危うさについて触れた本。
結構面白かったよ。

・在宅勤務型(従業員が職場ではなく自宅で働きそれは正規の労働時間となる)
・モバイルワーク型(営業系従業員が出先とかでモバイルとかで働いて直行直帰する)
在宅ワーク型(請負労働)

の3タイプで分析していたのだけど、

在宅勤務型は仕事の評価が難しくなるのでなかなか広まらないとか、
モバイルワークは帰属意識が薄くなるとか人間関係の希薄化を招くとか、
在宅ワークは賃金安過ぎね?とか。

ってかさ、在宅ワークの時給が場合によっては200円とはどういうことよ、とか。
IT系の仕事の場合、最低工賃の設定がない為、とんでもなく安い時給になることがあるらしい。

あと、「自宅残業」の問題。
アメリカの例が取り上げられていたけど、自宅での仕事が可能な為、平日も休日も働く「超長時間労働」になっている人も割といるらしい。

それから「強制された自発性」という重要なキーワードについて。

熊沢誠は、近年、労働条件が切り下げられていく原因のひとつとして「強制された自発性」をあげている。「強制された自発性」とは、「そうせざるをえないような状況の下で、人が一応は自発的に選ぶというかたちで状況適応的に物事を決定すること」を指す。つまり、本当は残業したくないのに、明日の仕事に支障が出ることがわかっているので、自発的に残業するといった場合である。他に選択肢のない状態で選択したものを、自発的に選んだと、当人たちも周囲も思いこみ、また思いこませる状態が「強制された自発性」である。


労働の不可視化というのも問題視されていたな。
テレワークだと労務管理が難しい。というか見えない。
また、他人を観察できないということは、自分が行っている業務量が過剰なのか否かということが判断できない。

このような自己裁量のもたらす幻惑が、前述の労働の不可視化と組み合わさったとき、テレワークがもつきつさや報酬の低さといったことは、みごとに当人たちの視界の外へと追いやられてしまう。



なるほろなるへそ。