多重下請けとか
100名という境
企業規模100名を境に平均給与が大幅に上がるというのはなかなか興味深い。
他業界同様、ある程度の規模拡大を目指すのがSIの正道か。
中小零細企業
SI業界は中小零細企業が多い。
土地、店舗、工場などの大きな初期投資を必要としない、また、士業と異なり免許を必要としないし、規制産業でもないので、参入障壁が極めて低い為である。
ベンチャー
単なる中小零細企業が自らをベンチャーと呼ぶケースは割と多いように思われる。
ベンチャーとスタートアップは本質的には意味が異なるのだが、日本では似たような意味で捉えられることも多い。
個人的には設立5年を経過した企業がベンチャーを標榜するのは些か自己欺瞞ではないかと感じる。
5年を過ぎてなお自らの事業を「冒険的な企業」と定義するのは些か乱暴だと思う。
というか、みっともない。
中小零細企業での新事業立ち上げ
資金的余裕のない中小零細企業で経営基盤を維持しつつ新規事業を立ち上げるのは分が悪い。
規模拡大への道
幾つかのSI企業のHPを見て気付いたのだが、沿革にM&Aがある企業は少なくない。
10年を超えて思うような事業展開、規模拡大を行えていないならば、まるっと会社を売ってしまい、大きなところに吸収してもらった方が良いのでは?とか思う。
(資金的余裕があるなら逆に他を取り込むのも手かもしれない)
企業規模と給与に相関性が認められるならば、社員にとっても大きな会社に吸収される方が幸せだろう。
ただ、役員にとってメリットが大きいか否かは場合による。大企業の部長・係長クラスの方がより大きな金額・人材を動かせたりもするのだが、(節税など)経営陣が会社の仕組みを積極的に活用している場合、この限りではない。
(会社の保養所や寮が実は上層部社員の個人資産だった、というのもよくある話)
M&A
「業界再編時代」のM&A戦略 ~№1コンサルタントが導く「勝者の選択」~
- 作者: 渡部恒郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/09/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
売れているらしい。
ただし読んでない、気にはなっているのだけど。
なぜ多重下請けが起こるのか
個人的には中小零細企業の乱立が大きな原因の一つと考える。
そもそも発注者側は多重下請けを望んでいない。むしろ労務管理が煩雑になるというデメリットの方が大きい。
下請け企業側が潤沢な人材供給力を有していれば、そこから更に下請けへ、ということはなくなるのだが、実際にはその力が不足している為、更に別企業へ人材を問い合わせるということになる。
派遣会社の活用もある程度は成功しているが、スキル評価という点ではそこまでの信頼性を得てはいない。SIはフリーの人材ブローカーが跋扈している業界なのだが、人を評価する力という点では彼らの方が信頼性を得ていると思われる。
下請け側が「うちは多重下請けではやりません」と宣言するのも手だが、多くの中小零細はそこまでの営業力を持ち得ない。
発注者側が「直接契約」にこだわるのも手だと思う(近年は増えている)。
「長年の関係」を重視し、目を瞑るケースが多いのだが、多重下請けは本質的にデメリットの多い仕組みである。業界は別だが、建築業界の不正事例(検査に対する結果改竄など)も多重下請けが原因の端をなすケースも多い。
SI業界で多重下請けが確認される現状の状態で、品質毀損や情報漏洩事故が今のレベルで収まっているのはある意味奇跡ではないか、とは思う。
社畜と下請け、独立心
「このまま社畜で終わるのか?」と煽られ、独立起業したとしても、仕事の受注先が元々いた起業であれば、単に下請け構造が増えるだけである。
結局、元いた企業以外に販路を広げられないケースは割と多いように思われる。
「独立したい」というのは、報酬に関わらず野心ある社員なら一度は考えることのようだ。
外部から見ると親会社に100%依存し、経営基盤も超安定している子会社でも親会社からの「独立」を夢見たりするのだから、奇妙な話だと思う。
昔の記事
似たようなことは相当前に書いていた。
ところでこの記事
アニメーター業界は「肩書きはフリーランスなのだけど、会社に席を確保して仕事する」のが割と一般的なようだが、一歩間違えればそれになる事例。
正社員として固定費化せず、必要に応じてそれなりのスキルの人材を確保できるのはある意味企業としては理想である。